もう長い距離は歩けないから旅行はちょっと・・
親を旅行に連れて行きたいけれど、移動が心配で中々誘えない・・
そんな理由で、旅行をあきらめてしまう方は少なくありません。
でも、歩く量を抑える工夫しだいで、足腰に不安があっても旅の選択肢はぐっと広がります。
この記事では、元添乗員の視点も交えながら、歩かない旅行の選び方・おすすめのスタイル・使える移動手段・宿の選び方までを順番にご紹介しています。関東・関西のエリア別ガイドやよくある質問もまとめました。
シニアご自身やご家族に合う旅を選ぶための、判断材料としてぜひお使いください。
※当ページの「歩かない旅行」は、一歩も歩かないという意味ではありません。徒歩移動を少なめにしやすい、歩く量を抑えやすい旅という意味で使用しています。
歩かない旅行とは?移動の負担を抑えて楽しむ旅
「歩かない旅行」とは、観光や温泉を楽しみながらも、歩く距離や移動の負担をできるだけ抑える旅行スタイルのことです。
バスや乗り物をうまく使ったり、宿でゆっくり過ごしたりと、楽しみ方を選びながら無理のない範囲で旅行をします。
こうしたスタイルが注目される背景には、年齢を重ねるなかでの体力の変化があります。
国土交通政策研究所の調査では、70歳以上で宿泊旅行の回数が減る大きな要因のひとつに歩行の困難があると指摘されています。「長く歩けるか不安」という気持ちが、旅そのものをためらわせてしまうのです。
ただ、この調査は裏を返せば希望でもあります。
同じ研究の中でも、足腰に不安があっても旅行しやすい環境を整えれば、70歳以上でも旅行を続けられる可能性があると示されています。つまり、歩く量を抑える工夫さえあれば、旅をあきらめる必要はないということです。
出典:国土交通省 国土交通政策研究所「車いす、足腰が不安なシニア層の国内宿泊旅行拡大に関する調査研究」(2016年)
高齢者の歩かない旅行は、我慢することではありません。
移動手段や宿、まわり方を選ぶことで、体力に合わせて旅を楽しむ前向きな選び方です。
高齢者の歩かない旅行を選ぶときのポイント
歩かない旅行を計画するときは、行き先よりも先に「どうやって移動し、どこで休むか」を考えると失敗が少なくなります。
ここでは、旅程づくりの土台になるポイントを3つにまとめました。
移動手段を先に決める
歩く距離は、移動手段でほぼ決まります。
タクシーや送迎で駅から目的地までを結べば、徒歩の区間は大きく減らせるでしょう。公共交通だけで組むより、多少の費用をかけてでも移動をラクにする方が、結果的に旅を楽しめることも多いものです。具体的な移動手段は、のちほど章をあらためて紹介します。
こまめに休める場所を確保する
長く歩かないためには、途中でひと息つける場所があるかどうかが大切です。
ベンチや休憩スペース、座って眺められるカフェなどがあると、自分のペースで進めます。予定を詰め込みすぎず、余裕を持った旅程にしておくと安心です。
宿でゆっくり過ごす前提で選ぶ
歩かない旅行では、宿は「泊まる場所」ではなく「過ごす場所」として選びましょう。
最近は、観光に出かけず宿の中で滞在そのものを楽しむ「おこもりステイ」も広がっています。
部屋食や館内の温泉、眺めのよいラウンジがあれば、外を歩き回らなくても旅の満足感は十分に得られるはずです。
あえて予定を入れず宿でくつろぐ過ごし方は、歩かない旅行とも相性がとてもいいです。
宿の選び方は、このあとの章であらためて紹介します。
【楽天トラベル】人気温泉地から部屋食付きプランを探す>>この3つを意識するだけでも、旅のハードルはずいぶん下がります。あとは行き先やスタイルを、体力や同行者に合わせて選んでいきましょう。
歩かない旅行におすすめの旅行スタイル
ひとくちに歩かない旅行といっても、楽しみ方はいくつもあります。
ここでは、移動の負担を抑えやすい代表的なスタイルを紹介します。体力や同行者、行きたい場所に合わせて選んでみてください。
ゆったり日程のツアーを利用する
歩かない旅行に慣れていないうちは、ツアーを使うのも手です。移動はバスや専用車が中心で、休憩や食事の時間もあらかじめ組まれているため、自分で歩く区間を調整する手間がありません。
なかには、行程をゆったりとり、歩く距離を抑えたシニア向けのプランもあります。シニア向けのプランが多くおすすめの旅行会社は、クラブツーリズムです。
旅行会社ごとに得意分野や配慮の度合いは異なります。どこに頼むか迷ったときは、シニア向け旅行会社ランキングもあわせてご覧ください。

宿で過ごす「おこもりステイ」
観光に出かけず、宿の滞在そのものを目的にするのが「おこもりステイ」です。
部屋食や館内の温泉でゆっくり過ごせば、外を歩かずに旅の満足感が得られます。景色のよい部屋やラウンジのある宿を選べば、座ったまま非日常を味わえるでしょう。
「移動はできるだけ少なく、でも特別な時間を過ごしたい」という方に向いたスタイルです。
温泉でのんびり湯めぐり
温泉宿は、歩かない旅行と相性のよい行き先です。
館内に複数のお風呂がある宿なら、外に出なくても湯めぐり気分を楽しめます。客室から大浴場までの距離や、エレベーターの有無を事前に確認しておくと、館内の移動もラクになります。
部屋風呂やお部屋食がある宿もおすすめです。移動の心配や誰かに気を遣うことが減り、ストレス少なく過ごせるでしょう。
乗り物を活かして歩かずに観光する
園内バスやロープウェイ、遊覧船などを使えば、歩く量を抑えながら観光できます。
広い庭園や高低差のある景勝地でも、乗り物が主要なポイントを結んでいれば、歩かずに楽しめる場所は意外と多いものです。こうした設備のある観光スポットを選ぶのも、ひとつの工夫といえます。
歩かない旅行におすすめのエリア・行き先
歩かない旅行は、エリアによって向いている過ごし方が変わります。ここでは、移動の負担を抑えやすい行き先をエリアごとに厳選しました。具体的なまわり方は、エリア別の記事でくわしく紹介していきます。
関東エリア(箱根・草津)

関東は、温泉地と都市が近く、移動手段の選択肢が多いエリアです。
箱根
ロープウェイや芦ノ湖の遊覧船を使えば、歩かずに景色を楽しめます。乗り物を乗り継ぐだけでも見どころをめぐれるため、坂道や階段が気になる方に向いています。
詳しくは、「箱根歩かず楽しめる観光地&温泉宿6選」をご覧ください。こちらの記事では、箱根エリアでシニアにおすすめの観光地と温泉宿を詳しくご紹介しています。

草津
温泉街が湯畑を中心にまとまっていて、宿の行き来がしやすいのが魅力です。湯畑の周辺だけでも雰囲気を味わえるので、無理に歩き回らなくても満足できるでしょう。
詳しくは、「草津歩かず楽しめる観光地&温泉宿4選」をご覧ください。こちらの記事では、草津エリアでシニアにおすすめの観光地と温泉宿を詳しくご紹介しています。

関東のより詳しい行き先やまわり方は、高齢者の歩かない旅行・関東編(準備中)で紹介していきます。
関西エリア(有馬温泉・淡路島)

関西は、見どころがまとまっていて、移動の負担を抑えやすいエリアです。
有馬温泉
有馬温泉は、神戸から近く、こぢんまりとした温泉街です。
宿で過ごす時間を中心にすれば、おこもりステイで歩く量を抑えられます。
淡路島
淡路島は、海沿いに眺めのよいリゾート宿が点在します。車での移動を前提にすれば、歩かずにまわれる行き先です。おこもりステイなどの宿でゆっくり過ごす旅に向いています。
関西のより詳しい行き先やまわり方は、高齢者の歩かない旅行・関西編(準備中)で紹介していきます。
そのほかの全国エリア(熱海・別府・北海道)

関東・関西以外にも、歩かない旅行に向いた行き先は全国にあります。
熱海
熱海は、駅から温泉街や海が近く、移動の負担を抑えやすい高齢者に人気の行き先です。
海を眺められる宿でおこもりステイをすれば、歩かずに非日常を味わえます。温泉・宿・グルメがコンパクトにそろう点も、シニアの旅行先として支持されています。
詳しくは、「【熱海編】歩かず楽しめる観光地&温泉宿7選」をご覧ください。こちらの記事では、熱海エリアでシニアにおすすめの観光地と温泉宿を詳しくご紹介しています。

別府
別府は、いくつもの温泉地が点在するエリアです。
観光バスや車を使えば、歩く距離を抑えてめぐることができます。湯けむりの風景を車窓から楽しめるのも、このエリアならではの魅力です。
北海道
北海道は、登別や定山渓など、大きな温泉宿でおこもりステイを楽しめるスポットがそろっています。歩かない旅行向けのツアーも多く、移動の計画を立てやすいエリアです。
歩かない旅行で使える移動手段
歩く量を左右するのは、行き先よりも移動手段です。
ここでは、歩く負担を減らすのに役立つ代表的な手段を紹介します。組み合わせて使えば、歩かずにまわれる範囲はぐっと広がります。
タクシー・観光タクシー

駅や宿から目的地までを直接結べるのが、タクシーの強みです。
観光タクシーなら、運転手が見どころを効率よくまわってくれるため、歩く距離を抑えながら観光を楽しめます。半日や1日の貸切プランを用意している地域も多く、複数人で使えば一人あたりの負担も抑えられます。
宿や施設の送迎サービス
宿や観光施設のなかには、駅からの送迎を行っているところがあります。
重い荷物を持って歩く必要がなくなり、到着してすぐにゆっくりできるのは大きな利点です。送迎の有無や予約の要否は施設によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
ロープウェイ・ケーブルカー

高低差のある景勝地では、ロープウェイやケーブルカーが頼りになります。坂道や階段を上らずに、高台からの眺めを楽しめます。移動中も楽しめるのがポイントです。
乗り場までの道のりや運休日は事前に調べておくと安心です。
遊覧船・観光船

湖や河川、湾沿いの観光地では、遊覧船もよい選択肢です。
座ったまま景色を楽しめるうえ、徒歩ではまわりにくい範囲も水上から眺められます。乗り降りの際の段差が気になる場合は、乗船前に確認しておくとよいでしょう。
園内バス・シャトルバス
広い公園や庭園、テーマパークでは、園内をめぐるバスが運行していることがあります。主要なポイントを結んでいれば、広い敷地でも歩く量を抑えてまわれます。運行ルートや時間を入口で確認しておくと、計画が立てやすくなります。
移動支援・旅行支援サービスを頼る
最近は、付き添いや車いすの手配など、移動をサポートしてくれる支援サービスも増えています。
空港や駅での介助、福祉車両の手配、同行スタッフ(介護士や看護師)が付くプランなど、内容はさまざまです。
旅行会社やNPO、自治体の観光窓口などが提供している場合があるため、不安が大きいときは一度相談してみるのもよいでしょう。利用条件や対応範囲はサービスごとに異なるので、早めの問い合わせがおすすめです。
これらの移動手段や支援サービスは、運行日や対応内容が季節・施設によって変わることもあります。
お出かけ前に、公式サイトや窓口で最新の情報を確認しておくと安心です。
歩かない旅行の宿の選び方
歩かない旅行では、宿で過ごす時間が旅の満足度を大きく左右します。
ここでは、館内の移動の負担を抑えるための、宿選びの観点を紹介します。
JTBの(全旅連)が認定する「シルバースター登録基準」を満たしたホテルを紹介している「【JTB】全国の全旅連認定・人に優しい宿特集」もあわせてご覧ください。
食事は部屋食や個室があると安心
部屋食や個室の食事処がある宿なら、食事のたびに大広間まで歩く必要がありません。
席まで料理を運んでもらえれば、まわりに気をつかわず自分のペースで過ごせます。食事の形式は宿によって異なるので、予約前に確認しておきましょう。
客室から大浴場までの距離を確認する
大浴場が自慢の宿でも、客室から遠かったり階段を挟んだりすると、館内の移動そのものが負担になります。
客室と浴場が同じ階か、エレベーターがあるかを事前に調べておくと安心です。部屋風呂や貸切風呂のある宿を選べば、長い距離を歩かずに温泉を楽しめます。
バリアフリールームや設備を確認する
段差の少ない造りの宿や、バリアフリールームのある宿なら、館内での移動の不安を抑えやすくなります。施設によって、館内にエレベーターあり・多目的トイレあり・車いす貸出ありなど、設備の内容はさまざまです。「ユニバーサルルーム」「バリアフリールーム」は宿ごとに名称も対応範囲も異なるため、客室名だけでなく設備の内容まで公式サイトで確認しておくと安心です。
気になる宿をいくつも見比べたい場合に向けて、条件から施設を探せるコーナーも準備を進めています。公開までは、各宿の公式サイトや予約サイトで設備をご確認ください。
よくある質問(FAQ)
- 高齢者が歩かない旅行におすすめの行き先は?
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温泉地や、ゆっくり過ごせる宿が定番です。
館内に温泉やラウンジがそろっていれば、外を歩き回らなくても旅を楽しめます。
ロープウェイや遊覧船など、乗り物で景色を楽しめる観光地もおすすめです。歩かずに楽しめる場所を選べば、体力に不安があっても無理なく回れます。エリア別の行き先は、関東編・関西編でくわしく紹介していきます。 - 80代でも楽しめる歩かない旅行はありますか?
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宿で過ごすおこもりステイや、送迎・タクシーを使った温泉旅行なら、歩く量を抑えながら楽しめます。
日程をゆったりとり、こまめに休める旅程にしておくと、体力に不安があっても無理なく過ごせるでしょう。あわせて読みたい
シニアのための『疲れない旅行』5つの鉄則!無理なく楽しむ計画&日程作成ガイド シニア旅行の旅程(スケジュール)の立て方を解説。移動時間の目安、休憩の入れ方、歩く量を減らすコツ、宿や交通の選び方など、親孝行旅でも失敗しない計画術をまとめました。 - 高齢の親と旅行に行くなら、どこがいいですか?
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歩く距離が短く、宿で過ごす時間を大切にできる場所が向いています。
移動はタクシーや送迎を中心に組み、観光は乗り物を使える場所を選ぶと、親世代の負担を抑えられます。行き先を決める前に、移動手段と休憩できる場所を先に考えておくと安心です。
- シニアに人気の旅行先はどこですか?
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温泉地は、シニアの旅行先として根強い人気があります。
ただ、人気の場所が必ずしも歩かない旅行に向いているとは限りません。ランキングだけで決めず、移動のしやすさや宿での過ごしやすさを基準に選ぶことをおすすめします。
- 歩かない旅行のツアーは、どこで探せますか?
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シニア向けのプランを扱う旅行会社で探すのが近道です。
行程がゆったりしているか、歩く距離への配慮があるかを確認するとよいでしょう。旅行会社選びに迷ったときは、シニア向け旅行会社ランキングもあわせてご覧ください。
まとめ
高齢者の歩かない旅行は、我慢することではなく、楽しみ方を選びながら無理なく旅を続けるための工夫です。
移動手段を先に決め、こまめに休める場所を確保し、宿でゆっくり過ごす。この3つを意識するだけで、足腰に不安があっても旅のハードルはぐっと下がります。
今は、楽しみ方も豊富です。シニア向けツアーやおこもりステイ、乗り物を使って歩かずに観光するスタイルも選べます。熱海や箱根、有馬温泉のように、移動の負担を抑えやすい行き先も全国にあります。
ご自身やご家族の体力に合わせて、心地よいまわり方を選んでみてください。
旅行会社選びに迷ったときは、シニア向け旅行会社ランキングもあわせてご覧ください。
エリア別の行き先は、関東編・関西編でさらにくわしく紹介していきます。
「もう一度あの景色を見たい」という気持ちを、無理のないかたちで叶える旅の参考になればうれしいです。


